Webコンサルタント中山陽平の「中小企業を強くするWebマーケティングラジオ」
Webコンサルタント中山陽平の「中小企業を強くするWebマーケティングラジオ」 · 2025年8月19日 · 33:14
今回の話題:なぜAIやデジタル施策は社内に根付かないのか多くの組織はデジタル技術を導入しても、文化や行動、意識を変えない限り、変革は定着しません。
AI系の取り組みや、少し前ならDXといった「デジタル化」を進めようとしても、なかなか会社に定着しないという悩みは本当に多いです。
これは日本だけの問題なのか、それともグローバルでも起きる共通課題なのか。そもそも会社の中で新しい変革をもたらすには、どこから探るべきなのか。そういう文脈で情報収集をしている中で、面白いレポートに出会ったので、今回はその内容をベースにお話しします。
参考にしたレポート:Capgeminiの「The Digital Culture Challenge」今回ご紹介するのは、フランスのグローバル企業キャップジェミニ(Capgemini)が出している調査レポートです。AIそのものを扱った内容ではありませんが、「デジタル変革が定着しない理由」を文化の観点から整理していて、今のAI活用にもそのまま当てはまる話が多い。
スライドシェア(SlideShare)で公開されているので、気になる方は概要欄などから辿ってみてください。
The Digital Culture Challenge; Bridging the Employee-Leadership Disconnect(SlideShare)
ちなみに、レポート類は「「かたより」があるのでは」と気になる方もいると思います。もちろん営業的な意図がゼロとは言いませんが、私の感覚では極端に偏っているというより、デジタル変革の調査を継続的に出している企業として、参考にしやすい部類だと思っています。
最大の壁は「文化」:ツールが来たら変わる、では変わらない結論をもう一度はっきり言うと、デジタル技術を導入しても、文化や行動・意識を変えない限り、変革は定着しません。
もう少し砕けて言うと、こんなすれ違いが起きやすいです。
ここで大事なのは、「いい技術が来たら勝手に動く」ではなく、会社としての行動規範や許可範囲、方針を整えることです。企業理念のような抽象度の高い話だけでなく、もっと実際の現場に落ちる形で「ここまでは自由にやっていい」「AIはこういう方針で使う」といったルールを用意してあげることが効いてきます。
デジタル活用を浸透させる7つのポイントレポートでは、デジタル文化を根付かせるための要素が7つ挙げられています。私はこれを「スローガン」ではなく、日々の仕事で繰り返す習慣として捉えるのが良いと思っています。
ポイント 私の解釈(現場で起きること) 最初の一手の例 顧客志向 「自分たちが楽になる」より先に「顧客が嬉しい状態」を起点にする 顧客が困る場面を1つ選び、そこだけ改善する イノベーション 新しいことを試すのを許す空気があるか 小さく試す枠(時間・予算・担当)を先に決める データ駆動 「分析」以前に、暗黙知を言語化して共有できる形にする 作業を録画・録音して、理由を解きほぐす オープンさ 意見を言った瞬間に否定されない、言いやすい環境があるか まず受け止める、を上から徹底する 共同 部門間が「自部門最適」で止まらず協力できるか KPIを見直し、会社最適の評価軸を混ぜる デジタル思考 2回以上やる仕事は「仕組み化できないか」から考える 繰り返し作業を1つ選び、まず半自動化する 機敏性 変化に合わせて柔軟に動けるか(硬直しないか) 一気に変えず、段階的に試して改善する 1. 顧客志向:まず「顧客が喜ぶ状態」から逆算するデジタル文化を根付かせるには、「自分たちがどう変わるか」よりも先に、顧客としてどうなっていたら嬉しいのかを出発点にします。そこから逆算して「じゃあ自分たちはどう変わるべきか」を考える、という順番です。
2. イノベーション:新しい挑戦を後押しする空気があるか新しいことをやろうとすると、どうしてもブレーキがかかります。事情も立場もあるので簡単な話ではないのですが、それでも「変わらないとついていけない」のは現実です。
特にAIの波は、昔のウェブサイト制作の立ち上がり期のように「1〜2年遅れても取り戻せる」とは限らない。だからこそ会社として「まず試してみよう」という空気を作ることが大事だと思っています。
3. データ駆動:分析より先に「言語化」が要るデータドリブンというと「解析しなきゃ」「データベースに入れなきゃ」と思われがちです。ただ、現場で一番の問題になるのは、個人の中にある知識や技術が形になっていないことです。
職人系の会社さんだと特に分かりやすいのですが、「なんとなくうまくいってる」「代々やってるから」という無意識の作業がたくさんあります。誰かに聞かれて初めて「そういえば、なぜだろう」と気づくことも多い。
だからまずやるべきは、暗黙知を意識の上に引き上げて、言語化して、他の人も使える形にすることです。作業を動画で撮って「なぜこの距離なのか」「なぜこのタイミングでひと手間を入れるのか」を一緒に解きほぐしていく。そういう地道な積み重ねが、結果的にナレッジになります。
ここまで集められれば、録音して文字起こししてAIに整理させるだけでも、十分に共有できる形にしていけます。
4. オープンさ:意見が言えない空気が一番つらい意見を言った瞬間に否定される会社と、とりあえず受け止めて考える会社では、差が出ます。これは意識変革なので簡単に変わらないし、上の人の雰囲気で決まってしまう部分もあります。
だから順番としては、上の側からオープンマインドを作っていくのが大事です。年齢や経験に限らず、フラットに「そういう考え方・方向性もあるのか」と扱えるかどうかは、デジタルに限らず組織の強さに直結します。
それから、よくあるのが「意見を言うと、言った人が責任を持たされる」パターンです。これがあると、分かっていても言わなくなります。ここは文化として明言して、避ける必要があります。
5. 共同:部門間の壁を越えないと、結局動かない営業、製造、サービス、カスタマーサポートなど、顧客接点のフェーズごとに持っている情報は違います。本来はそれを持ち寄った方が強いのに、部門ごとのKPIや目標設定が邪魔をすることがよくあります。
例えば会社としては「取るとトータルでマイナスになる顧客は取らない方がいい」ケースがあるのに、営業が件数だけで評価されていると、そういう案件を取ってきてしまう。これは個人の問題ではなく、制度設計の問題です。
6. デジタル思考:まず「楽にできないか」を考える私自身も気をつけているのですが、2回3回やる作業は「一回目は面倒でも、仕組み化すれば二回目以降が楽になる」ことが多いです。それなのに、人は「今まで通り手を動かせば終わる」方を選びがちです。
AIでプログラムを書く話も似ています。SNSを見ていると、複雑なものが簡単にできているように見えますが、実際はできる人ができているだけです。業務を理解し、必要なものを具体的にイメージし、詳細に指示を出さないと、仕組み化は進みません。
だからこそ、「一回目で挫折しやすい」ことを前提に、少しずつ仕組み化を進められる文化を持っておくのが大事です。いきなり全部やると業務が止まりやすいので、段階的に進めるのが現実的です。
7. 機敏性:焦らず、でも止まらずに進めるこの項目は少しアバウトに聞こえるかもしれませんが、変化に合わせて柔軟に動けるかどうか、という話です。焦って一気に変えると反動が来やすいし、一回失敗すると「もう二度とやらない」になりがちです。だから、きちんと進める設計が必要です。
「7つのポイント」を行動に変えるために、会社がやること話を聞いていると「結局、評価制度なのかな」となりがちです。私は、そこはかなり本質を突いていると思います。分かりやすいし、効くからです。
私の感覚では、特に次の要素が重要です(いずれもレポートの趣旨と、現場感を重ねたものです)。
エピソード: Webコンサルタント中山陽平の「中小企業を強くするWebマーケティングラジオ」