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後腹膜繊維症

ER/ICU Radio · 2026年8月24日 · 22:53

0:0022:53

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1.論文のタイトルRetroperitoneal fibrosis

2.CitationLancet 2026; 408: 649–64

3.論文内容の要約後腹膜線維症(RPF)は、腹部大動脈や腸骨動脈の周囲に慢性的な炎症と線維化が生じ、尿管などの隣接する臓器を包埋・閉塞する稀な免疫介在性疾患である。病変に特定の原因を認めない「特発性(特発性後腹膜線維症)」と、悪性腫瘍、感染症、薬物、放射線治療、手術、外傷などに起因する「二次性」に大別される。特発性はさらに、全身性疾患であるIgG4関連疾患の一症状として現れるものと、そうではない非IgG4関連のものに分類されるが、両者は臨床的・画像的に類似しており、単一の免疫病理学的スペクトラム上にあると考えられている。

疫学的には55〜65歳に好発し、男女比は2:1から3:1で男性に多い。遺伝的要因(HLA-DRB1*03遺伝子型など)や環境要因(石綿曝露、喫煙)が発症リスクを上昇させることが知られている。病態生理としては、大動脈外膜における一次性の大動脈炎から周囲組織へ炎症が波及する機序が想定されており、B細胞とT細胞の相互作用、線維芽細胞前駆体(フィブロサイト)の動員、好酸球やマスト細胞の関与が線維化を駆動する。

臨床症状は緩徐に進行し、最も頻度の高い初期症状は鈍い腰背部痛、側腹部痛、または腹痛(80%以上)である。また、発熱、倦怠感、体重減少などの全身性炎症症状を伴う。患者の60〜70%に尿管閉塞による閉塞性尿路障害が生じ、急性または慢性の腎不全を来す。血管包埋による下肢浮腫や深部静脈血栓症、精索静脈瘤なども特徴的な合併症である。

診断はCTやMRIによって行われ、活動性の評価や全身の他病変の検出には[18F]FDG-PETが有用である。非典型的な部位の病変、悪性腫瘍や組織球症(Erdheim-Chester病など)との鑑別が困難な場合は、生検による組織診断が必須となる。

治療の第一段階は、尿管閉塞に対するステント留置や腎瘻造設などの介入による腎機能の保護である。全身薬物療法の根幹は副腎皮質ステロイド(プレドニゾンなど)であり、75〜90%の患者で寛解が得られる。ステロイドの長期副作用を避けるため、メトトレキサート、マイコフェノール酸モフェチルなどの免疫抑制薬が併用される。近年は、B細胞枯渇療法(リツキシマブ)やIL-6受容体阻害薬(トシリズマブ)などの生物学的製剤が、特にステロイド禁忌例や難治性・再発性の症例に対して有効性を示している。

予後は概ね良好で生存率は一般人口と同等とされるが、治療終了後の再発率が25〜75%と非常に高く、慢性腎臓病への進行も20〜50%に見られるため、定期的な画像検査による長期的なモニタリングと維持療法が必要である。

4.批判的吟味

エピソード: ER/ICU Radio

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