青空朗読 · 2026年7月17日 · 6:57
草と虫とそして
著者:種田 山頭火 読み手:宮澤 賢吉 時間:6分57秒
いつからともなく、どこからともなく、秋が来た。ことしは秋も早足で来たらしい。
昼はつくつくぼうし、夜はがちゃがちゃがうるさいほど鳴き立てていたが、それらもいつか遠ざかって、このごろはこおろぎの世界である。こおろぎの歌に松虫が調子をあわせる。百舌鳥の声、五位鷺の声、或る日は万歳万歳のさけびが聞える。夜になると、どこかのラジオがきれぎれに響く。
柿の葉が秋の葉らしく色づいて落ちる。実も落ちる。その音があたりのしずかさをさらにしずかにする。
蚊が、蠅がとても鋭くなった・・・
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