名古屋ではたらく社長のITニュースポッドキャスト · 2026年10月13日 · 3:37
タイトル
Cloudflareの新モデル「Clef-omni」──文章を生成しない“判断AI”がもたらす自動化の波
このエピソードで登場するキーワードを説明します。
Cloudflare: 世界的なクラウドおよびセキュリティ企業。近年は自社ネットワークを活かしたAIインフラの提供に注力している。
Clef: Cloudflareが独自開発した「判断モデル」。文章を作らず、分類や確率のみを高速に出力する。
Jev: TypeSafe AI社が2026年9月に公開した判断モデル。Clefが競争上のターゲットとしており、システム上の互換性を持たせている。
Qwen3-Omni: Clef-omniの基盤として採用された大規模言語モデルのアーキテクチャ。多様なデータ形式を同時に処理する能力に優れる。
それでは解説に入ります。
2026年10月9日、Cloudflareは判断モデルの最新版となる「Clef-omni」を発表しました。AIインフラ市場において「判断モデル」という新しいカテゴリが急速に台頭しており、今回の発表はその主導権争いを一段と激化させるものです。判断モデルとは、従来の生成AIのように文章を一つずつ生成するのではなく、与えられた入力に対して「緊急度は高いか」「どの部署に割り当てるべきか」といった分類や確率のみを直接出力するAIを指します。文章生成のプロセスを完全に省略することで、処理の大幅な高速化とコスト削減を実現しており、自律型AIエージェントの意思決定やタスクの自動振り分けにおいて重要な役割を担いつつあります。
今回登場したClef-omniは、テキストや画像に加えて、音声ファイルや動画ファイルをそのまま入力できるマルチモーダル対応を実現しました。従来は音声をテキストに変換する別のAIを間に挟む必要がありましたが、Clef-omniはQwen3のアーキテクチャを基盤にこれを単一のモデルで処理します。21秒の動画データであっても、約1.5秒で解析と判断を完了させることが可能です。
市場の動向に目を向けると、この判断モデルの領域では2026年9月にTypeSafe AI社が公開した「Jev」が先行していました。Cloudflareはこれに対抗し、Jevと完全にAPIの互換性を持つ形でClefを展開しています。これにより、既存の開発者はシステムの接続先を書き換えるだけでCloudflareの環境へ移行できます。さらに今回の発表において、軽量モデルである「Clef-flash」の価格を100万トークンあたり0.038ドルへ引き下げ、競合であるJevを下回る強気な価格設定を打ち出しました。あわせてサーバー側の推論エンジンを新たな規格へ移行したことで、処理速度も従来の約2倍に向上させています。
モデルの重みデータはオープンソースとして公開されており、企業は自社のセキュリティ要件に合わせてオンプレミス環境に独自の判断モデルを構築することも可能です。生成AIによる文章作成とは異なる、純粋な「判断」に特化したこのアプローチは、今後のエンタープライズITにおける業務自動化の中核を担う技術として広く普及していくと予想されます。
今回のエピソードは以上で終了です。また次回お会いしましょう。
エピソード: 名古屋ではたらく社長のITニュースポッドキャスト