Webコンサルタント中山陽平の「中小企業を強くするWebマーケティングラジオ」
Webコンサルタント中山陽平の「中小企業を強くするWebマーケティングラジオ」 · 2026年6月23日
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
このPodcast/書き起こしで得られること(要点)AI検索が広がることで、企業から失われているのはどのプロセスか、という内容です。主としてコンテンツマーケティングの観点です。
「サイトへの流入が減る」「検索キーワードが見えにくくなる」「Google側のツールが対応しておらずブラックボックス状態」といった話。もちろんそれらもAI検索による影響として重要であり事実です。ただ、私が現場で「最も大きい」と感じているのは、そこではなく。
結論から言えば、AI検索が大きく変えているのは、ユーザーが「情報を探しながら、自分なりの判断基準を作っていく」プロセスです。
売り手側から見れば、見込み客育成・リードナーチャリングのためのファネルの入り口〜中盤の部分です。TOFUとかMOFUの部分。
ここをAIがごっそり持っていき始めている。
セールス・マーケティングの観点では、ここがかなり大きい変化だと考えています。
AI検索で奪われるのは、流入だけではない 長文検索やパーソナライズされやすい、と言う特徴はそこまで重要か?本当か?AI検索の話になると、長文で検索できるようになるとか、パーソナライズされやすくなる、などそういう話題が出ます。
たしかにそれもあります。ただ、長い文章で検索する人は以前からいましたし、Googleでも以前から長い検索自体はできました(インターフェイス的にやりやすいかどうかはともかく)。
※仕様上は、2013年のハミングバード導入から、会話調や文章での検索に初期対応していた。10年以上前です。
パーソナライズについても、それに繋がるような情報を交えて検索する人はいないわけではないですが少ない。要するに、AIだからという理由でまとめられるほどのものではない(と感じます)。
AIだけではなくチャットボットのログなどを見ていても、長文を入れる人ってホントに一部です。
なので、私はそこが本質だとは思っていません。
では何が変わったのかでは何が変わったのか。昔の検索行動を思い出してみると分かりやすいです。
何かを調べるとき、人は最初から答えだけを探していたわけではありません。
情報そのものにたどり着く前に、
を探していました。
そして、調べながら理解を深めていく。検索しているうちに問いが変わっていく。
少しずつ情報を拾いながら、自分が本当に欲しいものへ近づいていく。そういう探索的な検索の流れがありました。
そしてAI検索は、この「どう調べればいいか」「何を基準に判断すればいいか」という探索的な検索の部分を代わりにやってくれます。
便利ではあります。体感で楽に感じるのは、ここじゃないでしょうか?考え方をアウトソーシングできる。
そういう意味ではインフルエンサーを信じる方向に近い便利さを提供していると言えます。AIは。
しかしそれは、企業側から見ると、ユーザーが自社サイトに来る前に、判断の土台が自社にとってアンコントローラブルな場所(AI)で作られてしまうということでもあります。
従来の検索体験では「選択にはいくつもの切り口がある」と自然に分かった 「○○ 比較」コンテンツが自然と提示していた物昔から「何とか 比較」「何とか おすすめ」「何とか 選び方」という検索は多かったと思います。
月間検索数でも実際多いですし、それ故トピッククラスターモデルで計画を立てると、まず最初に埋めるべき対象になりがちです。そして、実際に需要はあったし、閲覧されることも多かったですね(それ故競争も激しかったですが)
従来の検索結果では、複数の記事が並びます。
それらを見ていると、ユーザーは無意識に気づきます。
「世の中にはいろいろな切り口がある。1つの基準で考えればいいわけではない」
「まず、どの基準で選ぶのかを自分で選ばなければいけない。」
このプロセスは面倒です。でも、情報探索においては非常に大事です。
複数の考え方に触れて、どれが自分たちに合うのかを拾っていく。その過程で、判断基準が自分の中に作られていきます。
AIが判断基準を丸めて提示することによる影響AI検索になると、ユーザーからの景色が変わります。
Googleであろうと、ChatGPTであろうと、Claudeであろうと、検索する人から見ると全部
「AIが答えている」「AIがおすすめしている」という形
になります。
もちろん、AIの裏側にはさまざまな情報があり、AIそのものの意見ではないという説明はできます。
しかし、ユーザーから見た姿としては、詳しいAIさんが一つの回答としてまとめてくれているように見える。
AIに対して人格を感じるのは、人生相談などにAIを使うユーザーが非常に多いことからも明らかです。
ここが大きい、と思いませんか?
マーケティング側が失った物今までは複数の人や企業の考え方が並んでいて、その中から自分たちが選ぶ必要がありました。
AI検索では、それが丸められて見えやすい。
いろいろな切り口があるはずなのに、最初から「こう考えるとよい」という形で提示される。
行動科学の観点で言えば、アンカリングに近いことが毎回起きます。
何を基準に判断すればいいのかを、先にAIが杭を打つように決めてしまう。
特に、その分野に慣れていない人や、これからAIネイティブに情報探索を始める人にとっては、それが考え方の基準になりやすい。
判断基準コンテンツが読まれにくくなるマーケティング側から見たときに、ここで奪われるものは何か。それが「判断基準を作る場」です。
これまでは、企業サイトには「自社の強み」「選び方」「初めての方向け」「比較のポイント」といったコンテンツがありました。
ユーザーに考え方を知ってもらい、その考え方に納得してもらい、そのうえで自社のサービスのよさへつなげる。いわゆるナーチャリング、見込み客育成の王道の流れです。
ところが今、アクセス解析を見ていると、そうしたフロントエンド系のコンテンツが本当に読まれにくくなっていると感じます。過去に関わってきたサイトや診断してきたデータからの印象として、サービス詳細、会社概要、事例といった確認系のページへのアクセスに偏っている。
そういうケースが増えています。
なので、力を入れているコンテンツが、自社サイトにあるだけだと機能しないことがあると。いくらサイト内で誘導を増やしたり、バナー訴求しても反応しない。
自社サイトでコントロールできる範囲の縮小これまでであれば、自社サイトに判断基準を書いておけば、少なくとも読まれる可能性がありました。検索順位で上に出る必要はありますが、それでも自分たちでコントロールできる範囲にありました。
しかし、今はAIにそれが持って行かれている。そして、AI側にその判断基準を反映させようとすると、難易度は一気に上がります。事実上非常に難しいでしょう。
AIの内部知識に影響させるには長い時間がかかるでしょうし、グラウンディングや検索連携の仕様も変わり続けています。GEOやLLMOのような言葉も出ていますが、現時点で「こうすれば確実」と言えるものはありません。
Googleだけでなく、ChatGPTやClaudeなど、サービスごとに出方も変わります。
今までのように、サイトに来てもらって、そこで強みを知ってもらい、判断基準を納得してもらうという流れだけに頼ると、かなり反応が取りづらくなります。見た目の数字に大きく変化がなくても、新規のお客さんが減っている場合には、この前提を疑った方がよいと感じています。
AI検索では判断基準が均質化しやすいも
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