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毛細血管漏出症候群

ER/ICU Radio · 2026年7月13日 · 19:11

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全身性毛細血管漏出症候群(Systemic Capillary Leak Syndrome: SCLS)は、血管内皮細胞のバリア機能が一過性に破綻し、血漿成分やタンパク質が間質腔へ急速に漏出する、極めて稀で致死的な臨床症候群である。本症候群は、低血圧、血液濃縮、低アルブミン血症の三徴を特徴とし、重症例ではショック、多臓器不全、四肢の区画症候群を引き起こす。

SCLSの正確な発症率は不明であるが、世界中で報告されている症例数は数百例に留まり、多くが敗血症や脱水、多血症などと誤診されている可能性がある。発症は全年齢層に見られるが、特に40代から50代の中年成人において診断されることが多く、性別による明確な差は認められない。

本症候群は大きく以下の2つに分類される。

SSCLSの主な原因およびISCLSの誘因は多岐にわたる。

血管バリア機能の維持には、隣接する内皮細胞間の接着装置(アドヘレンスジャンクション:AJ)が重要である。SCLSの本態は、このAJの構成要素であるVE-カドヘリンの減少と内皮細胞の収縮による透過性亢進である。

典型的なISCLSの発作は、以下の3相を辿る。

  1. 前駆期(Prodrome):数時間から数日間続く。倦怠感、めまい、筋肉痛、発熱、腹痛、悪心・嘔吐といった非特異的な症状が現れる。小児では両側性の眼窩周囲浮腫が重要な兆候となる。
  2. 漏出期(Leak phase):数時間から数日間。血漿成分の血管外流出により、重度の低血圧、頻脈、乏尿、全身の圧痕性浮腫が急速に進行する。血管内脱水による顕著な血液濃縮(ヘマトクリット値の上昇、時に60%超)が認められる。
  3. 回復期(Post-leak phase):血管透過性が正常化し、間質に溜まった水分が血管内へ再吸収される(流体動員)。この時期に適切な利尿管理が行われないと、急速な容量負荷によってフラッシュ肺水腫を引き起こし、死に至るリスクが極めて高い。

診断は、二次的な原因を除外した上で、臨床症状と検査所見に基づき行われる。

急性期の治療は支持療法が中心であり、ダメージコントロール蘇生が推奨される。

ISCLSの再発防止と生存率向上のためには、継続的な予防療法が不可欠である。

予防療法が確立される前の10年生存率は約50〜55%であったが、IVIgによる予防管理の普及により予後は大幅に改善しており、10年生存率は90%を超えるとの報告もある。主な死因は、急性期のショック、多臓器不全、および回復期の急性肺水腫である。また、MGUSを伴う症例の約1%が毎年多発性骨髄腫へと進展するため、定期的な血液学的モニタリングが推奨される。

ソース一覧

エピソード: ER/ICU Radio

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