キャッスルマン病(Castleman Disease: CD)は、特徴的なリンパ節病理像を呈する、稀で不均一なリンパ増殖性疾患の総称である。
臨床的および病理学的に以下のように分類される。
- 単中心性キャッスルマン病(UCD): 単一のリンパ節領域のみが侵される。
- 多中心性キャッスルマン病(MCD): 複数のリンパ節領域が侵される。以下の3つの亜型に分けられる。
- オリゴ中心性キャッスルマン病(OCD): 2〜3の隣接するリンパ節領域に限定される。
- 無症候性多中心性キャッスルマン病(aMCD): 全身症状を欠くMCD。
- 透明血管型(Hyaline Vascular: HV): 退行性(萎縮性)の胚中心、濾胞樹状細胞(FDC)の増生、タマネギの皮状の外套層、穿通血管(lollipop sign)を特徴とする。UCDの多くはこの型を呈する。
- 形質細胞型(Plasma Cell: PC): 胚中心の増生と濾胞間の著明な形質細胞浸潤を特徴とする。全身の炎症症状を伴うことが多い。
- 混合型(Mixed): 上記2つの特徴が混在する。
UCDの推定発生率は年間100万人あたり15〜19人であり、診断時の中央値は30代から50代である。性別による明確な偏りはない。UCDはリンパ節の豊富な領域(縦隔、頸部、腹部、後腹膜など)によく発生するが、リンパ組織を欠く実質臓器や軟部組織(膵臓、副腎、骨格筋など)に発生する「節外性UCD」も稀に存在する。
病態の核心はサイトカインの過剰産生、特にインターロイキン-6(IL-6)の過剰発現にある。IL-6は全身の炎症、発熱、貧血、高ガンマグロブリン血症、臓器障害を駆動する。UCDではFDCなどの基質細胞におけるPDGFRB遺伝子の体細胞変異が関与している可能性が示唆されているが、iMCDの正確な原因は依然として不明である。
臨床像は極めて不均一である。
- UCD: 多くは無症候性で、画像検査で偶然発見されるか、腫大したリンパ節による周囲組織への圧迫症状を呈する。
- MCD: 発熱、倦怠感、体重減少、寝汗などの全身症状を伴う。iMCD-TAFROでは急速に進行する浮腫、漿膜下液貯留、腎不全といった「サイトカインストーム」を呈し、重症化しやすい。
診断には、切除生検による高品質な組織標本の病理学的検討が必須である。細針吸引生検(FNAC)では診断が困難であり推奨されない。
- 画像診断: 造影CTで中等度から高度の造影効果を伴うリンパ節腫大を認める。FDG-PETでは軽度から中等度の集積を示す。
- 血液検査: CRPの上昇、貧血、低アルブミン血症、多クローン性高ガンマグロブリン血症、可溶性IL-2受容体の上昇が認められる。
- 鑑別診断: 悪性リンパ腫、IgG4関連疾患、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患、HIVやEBウイルスなどの感染症を除外する必要がある。
- 第一選択: 外科的な完全切除が推奨され、多くの場合これで完治する。
- 切除不能な場合: 症例に応じて経過観察、または症状がある場合はリツキシマブ、ステロイド、抗IL-6抗体薬(シルツキシマブ等)が検討される。周囲への圧迫が強い場合は放射線治療や塞栓術も行われる。
- 第一選択: IL-6阻害薬であるシルツキシマブ(またはトシリズマブ)が推奨される。
- 難治性の場合: リツキシマブ、サリドマイド、ステロイド、シロリムス、細胞毒性化学療法などが組み合わされる。
UCDの予後は一般に良好であり、完全切除後の生存率は極めて高い。合併症として、副腫瘍性天疱瘡(PNP)や閉塞性細気管支炎(BO)、AAアミロイドーシス、濾胞樹状細胞肉腫を伴うことがある。iMCDの予後は、疾患の重症度や治療への反応性に左右される。特に節外性UCDや一部のMCDでは、低頻度ながらB細胞リンパ腫への悪性転化が報告されており、長期的なフォローアップが必要である。
ソース一覧
- Unicentric Castleman Disease: A Rare Diagnosis of Radiological and Histological Correlation (Indian Journal of Otolaryngology and Head & Neck Surgery)
- Expert Perspective: Diagnosis and Treatment of Castleman Disease (Arthritis & Rheumatology)
- International evidence-based consensus diagnostic and treatment guidelines for unicentric Castleman disease (Blood Advances)
- Unicentric Castleman Disease: Illustration of Its Morphologic Spectrum and Review of the Differential Diagnosis (Archives of Pathology & Laboratory Medicine)
- Retrospective analysis of primary extranodal unicentric Castleman disease: a systematic review (Frontiers in Medicine)