名古屋ではたらく社長のITニュースポッドキャスト · 2026年10月6日 · 4:13
タイトル
AI特需で甦る東芝の遺産──ウエスチングハウスとキオクシアが分けた明暗
このエピソードで登場するキーワードを説明します。
ウエスチングハウス: 米国の原子力設備メーカー。2006年に東芝が買収し2017年に破綻。現在はブルックフィールドなどのファンド主導で再建を進めている。
キオクシア: 旧東芝メモリ。AIデータセンター向け大容量フラッシュメモリの需要増加を背景に、業績を回復させている半導体メーカー。
AIデータセンター: 生成AIの学習や推論を実行するためのインフラ施設。稼働には膨大な電力と大容量ストレージを必要とし、原子力と半導体の双方の需要を押し上げている。
それでは解説に入ります。
米ブルームバーグ通信は2026年9月22日、米原子力大手ウエスチングハウスが同年10月にも米国で新規株式公開(IPO)の申請を計画していると報じました。評価額は500億ドル、日本円にして7兆8000億円超を目標としています。2017年に米連邦破産法11条の適用を申請した同社ですが、現在はその企業価値を劇的に回復させています。
この復活を牽引しているのが、生成AIの普及に伴う巨大テック企業のAIデータセンター投資です。数ギガワット規模の電力を消費する施設をフル稼働させるには、天候に左右されない安定した大容量のカーボンフリー電源が不可欠です。米国政府が推進する800億ドル規模の原発増設プロジェクトの恩恵もあり、世界で稼働中の原子炉の半数以上に技術を提供するウエスチングハウスに投資と受注が集まっています。
このAIデータセンター特需は、電力インフラだけでなくストレージ分野にも波及しています。東芝がかつて手放したもう一つの巨大事業であるキオクシアも、データセンター向けフラッシュメモリの需要急増により業績を回復させています。ウエスチングハウスとキオクシアは、ともに生成AIという事業環境の変化によって見事な企業価値の向上を遂げました。
しかし、かつての親会社である東芝にとって、この二つの資産がもたらした結果は全く異なります。
ウエスチングハウスは経営破綻時に東芝が資本関係を完全に絶ったため、現在の7兆8000億円ともされる莫大な企業価値の恩恵は、現在の東芝には一切もたらされません。一方、キオクシアについては、東芝は事業売却後も一部の株式を継続して保有する選択をしました。その結果、直近の決算ではキオクシア株の価値上昇が東芝の純利益を大幅に押し上げ、さらに2026年9月中旬には東芝が保有するキオクシア株の一部を売却して約3600億円の現金を調達したと報じられています。この資金は、非上場化後の東芝のインフラ・エネルギー事業への再投資や経営再建を支える重要な原資となっています。
かつての経営危機の要因となった事業と、その穴埋めのために売却された事業。手放し方の違いが、その後のテクノロジートレンドの激変と相まって、現在の東芝の財務に明確な明暗をもたらす結果となりました。
今回のエピソードは以上で終了です。また次回お会いしましょう。
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