名古屋ではたらく社長のITニュースポッドキャスト · 2026年10月16日 · 6:49
タイトル
テスラ、SpaceXのスラスターで空を飛ぶ新型「Roadster」を発表──時速60マイル加速0.59秒と天井走行を実現した9年越しの衝撃
このエピソードで登場するキーワードを説明します。
テスラ・ロードスター(第2世代): テスラが2017年11月に初めて構想を発表し、約9年の歳月を経て2026年10月15日に再設計モデルとして正式披露された次世代の電動スポーツカー。
SpaceX: イーロン・マスク氏が率いる宇宙開発企業。今回の新型ロードスターの共同開発に参画し、ロケット技術を応用した推進システムや宇宙服のバイザーに由来する外装素材技術などを提供している。
コールドガススラスター(冷ガス推進機): 高圧に圧縮した気体を噴射して推力を得るロケット推進機構。新型ロードスターの上位モデルに搭載され、タイヤの摩擦限界を超えた爆発的な加速と空中での姿勢制御を実現する。
マルチモード・サクションシステム(吸気吸着機構): 車体底部から空気を強力に吸い出すファンと接地シールを組み合わせた空力システム。車両が静止している状態でも天井に張り付いて逆さまに留まれるほどの強力なダウンフォースを生み出す。
ステア・バイ・ワイヤ: ハンドルとタイヤの機械的な接続をなくし、電気信号によって操舵を行う技術。新型ロードスターでは航空機の操縦桿のようなヨーク型ステアリングとともに採用されている。
それでは解説に入ります。
米国の電気自動車大手テスラは、米国時間の2026年10月15日、テキサス州マクレガーにある宇宙開発企業SpaceXのロケット試験施設において、次世代の電動スポーツカーである第2世代「Roadster」の発表イベントを開催し、その模様をXおよび自社サイトでライブ配信しました。2017年11月の初回発表から実に約9年ぶりとなる今回のイベントは、当初2026年10月1日に予定されていたものの悪天候の予報により2週間延期されていたもので、イーロン・マスク最高経営責任者が「史上最高の製品デモになる」と事前に予告していた通り、自動車の常識を覆す航空宇宙技術との融合が披露されました。
今回発表された新型ロードスターは、「Performance」「Thrust」「Rocket」という3つのグレードで構成されています。ベースとなる2人乗りのPerformanceモデルは、従来の電気自動車の延長線上にある仕様で、停止状態から時速60マイル(約96.5キロメートル)までの加速時間が1.6秒未満とされています。その上に位置する2人乗りのThrustモデルは、車体下部の空気を強力に吸い出して路面へ車体を押し付ける「マルチモード・サクションシステム」を搭載し、加速時間を0.9秒未満へと短縮しています。そして最上位となる1人乗り仕様のRocketモデルは、SpaceXと共同開発したコールドガススラスターを搭載し、時速60マイルまでの加速が実に0.59秒未満、最高速度は時速230マイル(約370キロメートル)以上、航続距離は約300マイル(約480キロメートル)以上という驚異的なスペックを誇ります。
デモンストレーションで世界中の視聴者に最も大きな衝撃を与えたのは、このスラスターと吸気システムを使った実際の走行・飛行映像でした。通常の自動車はタイヤのグリップ力という物理的な限界によって加速性能が制限されますが、ロードスターの推進システムはタイヤが生み出せる摩擦力の4倍から5倍もの推力を直接発生させます。公開された映像では、無人のRocketモデルがスラスターを噴射して空中に浮き上がり、並べられたCybercabやCybertruck、Tesla Semi、Model Yといったテスラ車両の列を飛び越えるジャンプ飛行を披露しました。空中では全電動アクチュエーターによってスラスターの噴射が微調整され、車体の姿勢を安定させて着地する様子が確認されています。さらに、マルチモードファンによる強力な吸引力を利用し、静止した状態からそのまま天井に張り付いて逆さまに走行するという、物理法則に挑むような実演も行われました。
車体の設計にも航空宇宙グレードの技術が惜しみなく投入されています。軽量化のためにマグネシウムやチタン、カーボンファイバーが多用され、シート位置を固定式としたほか、コックピットにはヨーク型のステアリングによるステア・バイ・ワイヤが採用されました。外装には紫外線や極低温からの保護、静電気散逸、耐腐食性を備えた航空宇宙由来の「Ano White」塗装が施され、ガラス部分には宇宙服のバイザーの銅コーティングを模した「Gold Glazed」と呼ばれる特殊なティントガラスが使われています。まさに自動車というよりも「パイロットのための乗り物」として再定義された形です。
一方で、ビジネスや実用化の観点からは冷静な見方も広がっています。テスラは2017年の初回発表以降、ロードスターの予約金として5万ドル(約780万円)を受け付けてきましたが、今回のイベントでは各グレードの最終的な販売価格や具体的な量産開始時期、納車スケジュールは明かされませんでした。提供形態についても、Performanceは予約制、Thrustは限定販売、そして空を飛ぶRocketにいたっては「招待制のみ」とされており、さらにRocketモデルは公道での走行が認可されておらず、提供されない地域があることも注記されています。米連邦航空局(FAA)などの規制当局が空を飛ぶ自動車をどう扱うかという法的な壁も立ちはだかっています。それでも、自動運転タクシーのCybercabなどを軸に「人間が運転しないAI企業」へと舵を切るテスラにとって、マスク氏が「人間が運転する最後の最高の車」と位置づける新型ロードスターは、SpaceXとの技術シナジーを世界に誇示する強力な象徴となりそうです。
今回のエピソードは以上で終了です。また次回お会いしましょう。
エピソード: 名古屋ではたらく社長のITニュースポッドキャスト